トンネルズ&トロールズ完全版シナリオ:おっとビールをもう一杯 ◯始める前に  作ったばかりのPC、3−5人を想定した。  PCのレベルが多少高くて人数が多くても、モンスターの強さを調整し、PCの死や全滅を厭わなければなんとかなるはずだ。  とにかく始めよう。PCは全員顔見知りとする。 ◯導入 みどりのカエル亭  みどりのカエル亭では、今日も人間とモンスターが共に呑んだくれている。  みんながあんまりガブ飲みするので、とうとう最後のビールが飲み干されてしまった。  酒が切れたと知るや荒っぽい客たちは殺気立つ。PCは酒場の店主に、店の地下迷宮にある倉庫からビールをとってきてくれと依頼される。 ◯店の地下迷宮  店の床戸を開けるとそこは地下迷宮の入口になっている。店主は最近店を手に入れたばかりで地下迷宮のことをよく知らない。地図もない。  ただ、地下迷宮の地下三階に、特大のビール樽があるという。  店主が言うには、報酬は一人金貨100枚。迷宮の宝物も取り分にしていいそうだ(ただしビールは除く)。 ◯迷宮  迷宮はサイコロで作る。最初は地下1階。   1 通路 まっすぐ 2 行止 正面にドアor袋小路 3 通路 右曲がりor左曲がり 4 広間 正面にドアor左右にドア  5 通路 T字or十字 6 下りの階段   初めての場所に移動するごとにPLがサイコロを振る。  orの選択肢がある場合はサイコロを振って選ぶ。 「下りの階段」で一つ下の階層に行ける。  地下3階での「下りの階段」は「最終目的地」になる。  一番最初が「行止」なら選択肢は必ず「正面にドア」になる。  ほかと矛盾する選択肢は無視する。どれを選んでも矛盾するならGMが適当に決める。  これ以上迷宮を広げられなくなったら、そこが「下りの階段」になる。 ◯イベント  初めての場所に移動するごとにイベントが起こる。GMがサイコロを振って決める。 1 何もなし 2 モンスター 3 モンスター 4 トラップ 5 魔法 6 誰かいる ◯モンスター  ここにはモンスターがいる。  モンスターを無力化するまで、この場所を通過きない。  GMは、プレイヤーの人数やレベルによってモンスターの数や強さを調整する。 「ワンダリング・モンスター表」を使うか、GMが即興で決める。 「ワンダリング・モンスター表」を使う場合、「ダンジョン/廃墟のモンスター」を使う。慣れないうちはMR(並)、出現数を最小にして、様子を見る。  通常、モンスターは階を下るに従って強くなる。 ◯トラップ  GMは含み笑いをしながら、ここには何もないようだと告げる。  実際にはトラップが仕掛けられていて、入る時はなんともないが、この場所を出ようとすると発動する。  GMは即興で、トラップのしくみ、発見方法、解除方法、発動時の効果を考える。  発見には通常、1レベルのセービングスローが必要。発動時の効果のほとんどは、PCへのダメージとなる。  解除に失敗した場合、幸運で1レベルセービングスローする。失敗したら即座にトラップが発動する。 *トラップの例 1 塩がパラパラ     解除:2LV ダメージ:なし 2 胡椒がパラパラ    解除:2LV ダメージ:なし 3 オリーブ油ドボドボ  解除:2LV ダメージ:なし 4 水攻め        解除:1LV ダメージ:1D6 器用1LVで回避可能 5 回転ノコギリで切断  解除:1LV ダメージ:2D6 速度1LVで回避可能 6 高温でこんがり    解除:0LV ダメージ:3D6 耐久1LVでダメージ半分 ◯魔法  GMは即興で、何か不思議なこと、不思議なものを考える。 *魔法の例 1 イケメンの石像   触れると魅力度の現在値が2倍になる。シナリオ終了時に元に戻る。 2 ゴーレムのバレエ団 とても醜悪だが一生懸命。拍手をすると宝物を、悪口を言ったり邪魔するとモンスター召喚。 3 泉の女神      金のヘビーアックスと銀のヘビーアックスを所持。嘘をつくと遠慮なく両方振り下ろす。 4 おもちゃの武器屋  おもちゃの人形がおもちゃの武器を売っている。価格は1/2。買うと本物になる。 5 いたずら天使    幸運か速度で1LVセービングスローに失敗すると、所持品一つを盗まれる。 6 ブラックホール   触れると「みどりのカエル亭」に転送される。 ◯誰かいる  GMは即興で、その場にいそうな人、いそうでない人を考える。  その人がどんな状態か、何を欲しがっているかを考える。 *誰かの例 1 全裸の美少女   正体はアザラシの妖精セルキー。モンスターにアザラシの皮を取られて、海に帰れず泣いている。 2 猫耳の美少女   語尾はニャー。正体はワーブラックキャットMR60。常時腹ペコで人間も襲う。 3 岩悪魔の美少女  岩悪魔だけど美少女。人懐っこくて、地下迷宮とお酒とイケメンが大好き。ビールがあれば上機嫌。 4 メガネの美少女 「我が問いに答えよ」謎めいたリドルを出し、納得できる答えだと耐久度か魔力度を全回復する。 5 迷子の美少女   行方不明だった「みどりのカエル亭」前店主。方向音痴。地下迷宮の地図を持っている。 6 ボロボロの美少女 鎖に繋がれている。実はこの国のお姫様で、王位継承権第1位。悪い大臣に命を狙われている。  *メガネの美少女のリドル 1 私は生まれてから一度も罪を犯したことがない。嘘をついたことも騙したこともない。私は何?(答:生まれたての赤ん坊) 2 私は一つ先にいて、一つ後にいる。金持ちも貧乏人も私を信じるが、誰も私を見たことがない。私は何?(答:明日) 3 我ら3人、2人なら必ず1人が敗れ、3人なら永遠に決着がつかない。我らは何?(グーチョキパー) 4 私を体験する前は誰もが私を恐れるが、私を体験した後は誰も私を恐れない。私は何?(答:死) 5 5人から伴侶を選ぶ最も良い方法を答えよ(答え:不定) 6 6人殺せば1人が助かる。1人殺せば6人が助かる。どうすればいい?(答:不定) ◯宝物  モンスターを倒したり、特別なイベントがあった際の宝物の例。 1 金貨 2D6枚   ゾロ目は振り足し 2 金貨 2D6×10枚 ゾロ目は振り足し 3 ポーション 4 武器 5 食料 6 変なもの  2D6はゾロ目で振り足す。 *ポーションの例 識別は知力LV1。 1 赤いポーション  毒薬。ダメージ1D6。耐久力LV1でダメージ半分 2 青いポーション  媚薬。異性に対する魅力度のセービングロールで+3。 3 黄色のポーション ビールの味とビールの匂いがする。ぶっちゃけビール。おいしい。  4 緑のポーション  苦い。耐久度が2D6回復するが、頭に葉っぱが1D6枚生える。 5 紫色のポーション 甘い。魔力度が2D6回復するが、お尻にシッポが1D6本生える。 6 虹色のポーション へんな味。全ての能力値が全回復するが、身体中が虹色になり魅力度の現在値が半分になる。 *武器の例(詳細はルールブック参照) 1 日本のアニメやMMOに登場する現実的でない剣 2 アフリカ投げ刃 3 チャクラム 4 ブーメラン 5 ボーラ 6 小型のハンドガンと銃弾1発 *食料の例 1 豪華なディナー 2 甘いケーキ 3 固いパン 4 季節の新鮮な果物 1食分 5 謎の肉 一食分 6 ドワーフの洞窟苔の粥 *変なものの例 1 アマゾンの半魚人像  ルールブックに値段が書かれたものなら、いつでもどこでもなんでも買える。決済も配達も一瞬で、戦闘中でも使える。  支払いに使えるのは金貨のみ。使えるのは3回だけで、シナリオ終了時に消えて無くなる。 2 メガネ  野暮ったいデザイン。装着すると、相手のMRまたは能力値が表示される。 3 王族のティアラ  王位継承者が装着すると、任意に選んだキャラクター全員の個人修正とセービングロールが+3される。 4 アザラシの皮  アザラシの妖精セルキーの皮。かぶるとアザラシに変身し、水中でも自由に行動できる。 5 魔法のビール樽  小脇に抱えられるほどの大きさのビール樽。作った魔法使いの刻印が刻まれている。  体積の100倍のビールを、常にほどよく冷えた状態で保存できる。ビール以外には使えない。 6 地下迷宮の地図  迷宮のダイスを、あらかじめ好きなだけ振っておくことができる。 ◯そして、最終目的地  家が丸ごと1個入りそうなビール樽がある。  樽には魔法がかかっている。「みどりのカエル亭」にたむろする酔っ払いの泥酔エネルギーを変換して、ビールにしている。  酔っ払いがいる限りビールが出る、ある種の永久機関になっている。  体力度で5レベルのセービングスローに成功しないと、樽は運べない。  近くを探せば、懐に抱えられるほど、小さな樽(魔法のビール樽)が見つかる。  この樽にも魔法がかかっていて、100倍の量のビールを入れることができるのだ。  もしもPLたちがあまりにも物足りなさを感じているようなら、GMはここで最後の、最強のモンスターを出すこと。 ◯冒険点  それぞれの階で下りの階段を初めて降りるとき、現在の階×100の冒険点を全員が獲得する。  ビールを持って帰還した場合、300点の冒険点を全員が獲得する。 ◯エンディング 大成功  ビールを持って地下迷宮から生還した勇者たち。酔っ払いどもは大喜び。さあ、宴会だ!  みどりのカエル亭の、人間モンスター入り乱れてのどんちゃん騒ぎは、いま始まったばかりだ。 ◯エンディング まだ物足りないようなら 「おお勇者たちよよくやった。これは報酬だ。で、今度はワインが切れたんだが」 「ポテトが切れたんだが」 「キムチが切れたんだが」  別の地下迷宮の扉が開かれ、以下エンドレス。 ◯エンディング 未完、そして新たなる冒険へ  待てど暮らせどPCは戻ってこなかった。  荒ぶる人間とモンスターたちが店を破壊する前に、店主は新しい冒険者を雇うことに決めた。