完結編ヘレンespが5/27から

 あのヘレンespが、2010年5月27日発売の週刊少年チャンピオンから短期集中連載で復活です。
 今週発売の週刊少年チャンピオン予告に載っていました。
 続編が出て嬉しい、反面、「完結編」というあおりにちょっとびくびく。
 ぐさっと心に残る名作だけに、続きが読めるのは嬉しいけれど、終わってしまうのは残念です。

 とりあえず、来週のヘレンちゃんが楽しみです。

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ヘレンESP−スケッチブックを持って微笑む少女−

 ありがとう
 はなしかけてもらって
 うれしいです
 これからも
 仲良くしてください

 .....

 というわけでヘレンESP1巻、無事購入しました。オマケがほしくてわざわざ「とらのあな」まで行きました。また明日(ニコ)買いにいくんです。なにやってんだろ私。でもうれしいな。うれしいな。

 ヘレンESPは、ヘレン・高原・ラ=グィード、おそらく15歳のお話です。ヘレンは5年前に交通事故に会い、両親を同時に失い、自身も視覚・聴覚と言葉を失いました。今はお父さんの弟のひげのオジサマと、盲導犬ヴィクターと一緒に暮らしています。
 事故が原因なのか、元々素養があったのか、ヘレンは不思議な力を持っています。最初はヴィクターと意思疎通できる程度だったのですが(それはそれですごい)、新型補聴器がきっかけで、作中ESPと呼ばれる「なにかとてつもない力」を手に入れます。
 このお話は、不幸な境遇のヘレンが、自らの努力と周囲の協力を糧に、ハンディキャップを克服していく、苦難と感動の物語、ではありません。ヘレンがEPSを使って悪人をばっさばっさり退治する、そんなお話でもありません。

 なんていえばいいんだろう。とても不思議なお話です。

 確かに、ヘレンのESPは特別で、不思議なものが見えたり、不思議なものと意思疎通できたり、不思議なものを呼び寄せたりして、毎度不思議な体験をするのですが、それだけだと普通の不思議なお話です。ヘレンESPの不思議さは、もっと別の所にあるように思えてならないのです。歯がゆいなあ。
 冒頭の言葉は、初めて学校で話しかけてくれた(といってもヘレンには聞こえないから紆余曲折の末指文字で云々)女生徒に、ヘレンがかけた言葉です。ヘレンは話せないので、会話用スケッチブックを使います。ほんとうにうれしそうにニコニコしてスケッチブックを見せるヘレンが、私にもとても不思議な存在に思えました。

 ヘレンは確かに苦難を乗り越え(学校に行くとか、友達を作るとか)、そこには感動がありますが、「苦難と感動の物語」と言われて頭に浮かぶそれとはまったくちがうテンポが、そこにはあります。漠然と疑問にはおもっていたのですが、1巻収録のおまけマンガにその答えが書いてありました。ヘレンは不便ではあっても、不幸ではないんですね。だからヘレンESPはあんなに不思議で、ヘレンはあんなに魅力的なのでしょう。

 なに、ますますわかんなくなった?
 そんなアナタにおすすめ。

 読もう、ヘレンESP!

※おまけ。知らない人には全くわからない個人的なベストエピソードとか。

 全般的に評価が高いのは「ヘレンと魔王」かな。読むものにトラウマを残す問題作。
 同系で「ヘレンと花畑」。こちらは奇妙な後味。
 ヘレンがいちばん危ない目に遭う「ヘレンの日常」も捨て難いが、ここは1巻未収録の「ヘレンの電話番号」に一票。思わず青森にひっこしたくなります。

 ベストシーンは、前述の「うれしいです」のヒトコマで。
「ヘレンと魔王」のアレもいいが、やっぱりヘレンの笑顔が一番。

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新年静止する地球がすごいESPに(ニコ)するバキ外伝

 新年おめでとうございます。
 とりあえず近況とか、つらつら。

 映画の話。

 地球が静止する日、見ました。往年の名作のリメイク。タイムマシンしかり、宇宙戦争しかり、例によって換骨奪胎、同じキーワードで作られたまったくの別物であります。でもそこそこ楽しめました。
 キアヌ・リーブス版の宇宙人クラートゥは本人がチートに強力で、原作と違い自力で相手をやっつけてしまいます。詳細は明かしませんが理詰めで攻略する感じで、まるでスタンド能力のようです。これが意外とおもしろい。銃を持った警官と逆転するシーンはびっくらこきました。対ヘリ×2戦闘は笑いました。
 原作ではクラートゥ以上に有名なロボット・ゴートはゴツいくらいマッシブで、巨大ペプシマンに見えてしまいます。これがゴートだと言われれば納得はできますが、どうにも好きになれません。アイタタ。こいつがどんなふうにあばれるのかと思いきや、まさかアレでくるとは。ハリウッドがリアルなアレの仕組みをCGで懇切丁寧に見せてくれるとは、長生きはするものです。なるほど、これなら人類根絶やしだわと、納得できるビジュアルでした。
 個人的に好きなシーンふたつ。ひとつは原作にもある黒板のシーンです。ノーベル賞学者の老人とクラートゥが黒板に科学という言葉で無言のアンサンブルを奏でる、かりかりとチョークの音も心地よい印象的なシーンでした。
 二つ目は、中国人のおじいさんが出てくるシーンです。これは原作にはなかったはずです。

 マンガの話。

 ヘレンESPがおもしろい! ヘレンがかわいい!!
 事故で両親を失い、同時に三重苦を背負ったヘレンは、ついでにとんでもない能力(ESPってレベルじゃネェぞコレ!)まで目覚めてしまい、大小さまざまの事件に巻き込まれた末に、時に不可思議で、時に残酷で、時にほのぼの、時に何とも名状しがたい結末を迎えるショートストーリー集。障害者であるヘレンのさりげない日常(スケッチブックで話しかけるとか、粘土細工してるとか)と、現実に潜む非現実の邂逅(死者とか魔王とか花の精とかイタ電とか)、それはさておきヘレンがかわいいんですよ!
 マイナー誌の週刊少年チャンピオンで短期連載を不定期に繰り返す、知る人だけが知る佳作だったのですが、ようやく1/8に単行本が出てます。とにかくヘレンがかわいいので、できるだけ多くの人に見てほしいマンガです。

 もひとつマンガの話。

 あの(ニコ)が、完全版2巻で1/10発売ですよ? やんごとなき理由で単行本化が中断して、あんまり先が読みたかったので国会図書館まで行ったんですよ。まあそれはさておき。
 信じられない。待ってみるもんだ。
 あのエオマイアのタカハシマコが描いたザンコクまんが。本当はザンコクなこどもたちのザンコクさが容赦なくこどもたちに向けられるザンコクさ、それがタカハシマコの描くかわいっちい少年少女でアレします。容赦なく内面まで掘り下げた上に突き放します。ぽーん!
 印象的なのが、ダレカニミテホシクテ自傷を繰り返す女の子の話。彼女がポジティブなぶん、つらつらと何とも言えないきもちが胸に込み上げてきます。
 もう一つは、浜辺で出会ったおじさんとデート(?)する女の子の話。これはヤラレタ。子供の心を失わないとはどういうことなのか、現実的で残酷な答えが返ってきた上で、サクっと斬って落とされます。「ずっと夢を見続けてもいいんだよ。」
 この作品を愛せる人は限られていて、心が少々病んでいるのかもしれませんが、それでもうれしい。ありがとう。

 おまけ。

 ありえないものを描き続けるマンガ家、富沢ひとしセンセが、なんとバキ外伝の作画で復活。
 原作者は師匠の板垣センセですから、古巣にもどったわけですね。
 またSFも描いてほしいデス。

 んなわけで、今年もよろしくお願いします。

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仮面ライダー 狩られる−HYBLID INSECTOR−

 かつて人類の未来のために戦った、仮面ライダーたち。
 そして訪れた未来。人類が仮面ライダーを狩り始める。

 凄まじいまでの熱量とヒロイズムが注ぎ込まれたこのマンガ、おそらくネット上のみでの公開です。仮面ライダーSPIRITSと同じく昭和仮面ライダーでおなじみの面々が登場しますが、注ぎ込まれた熱量やリスペクトに遜色は無くても、ベクトルはまるで違います。ここまで徹底的に「人類が仮面ライダーの敵となる」お話を僕は知りません。
 現在Caputer07まで公開。まだ全員は登場していませんが、仮面ライダ一人一人の姿が、言葉が、生き様が、ひりひりするほどかっこ良く、ざくりとくるほど切ない。
 これは先が楽しみです。

 HYBRID INSECTOR(清水栄一+下口智裕)/ナデガタサーカス

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HOTELのBoichさんがまたまた

 というわけで、2006年の大絶賛、HOTELを描いたBoichiさんが、またまた戻ってきます。
 掲載誌は講談社のMANDALAモーニング。BLEMEの弐瓶勉さんとか蒼天航路の王欣太とかあの永井豪とかほかにも凄い面々がいます。発売日は3/21(金)。
 楽しみであります。

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鈴木式電磁気的国土拡張機−水着ふんどし制服すっぽんぽん少女SF−

 ようやく手に入る。
 何が?
 もちろん鈴木式電磁気的国土拡張機が。
 何かと言えばマンガのタイトルで、作者と言えば栗岳高弘。ジャンルといえばSF、と言いたいところだが、それだけではどうにも舌足らずの説明不足。強いて言うなら、昭和の水着ふんどし制服すっぽんぽん少女SFとでも呼ぶべきか。呼ばざるべきか。

 日常生活のすぐ横に、不思議な、でも適度に不思議過ぎない空間が開けていて、そこはかとなく異形の連中と、まったりとしたディスコミニケーションをするお話。
 核兵器で地形を変えるほどうりゃうりゃするとか、地球がピンクのスポンジに埋もれて滅んじゃうとか、キナクサイ話も出てきはするけど、話だけ。全てはまったりと進む。その割にストーリーの節々で驚きを感じるのは、作者のセンスなのか。
 万人向けではないけれど、好きです。

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2006年を振り返って

 総括とか。

 邦画は筒井康隆の年だった。
 「時をかける少女」「パプリカ」そして「日本以外全部沈没」と1年で映画化3本。どひゃー。
 特に「時をかける少女」は、誰にでもお薦めできるきもちいい良作。ヒロインのバカっぷりがすがすがしい。細田守監督の出世作と呼ばれるようになるんだろうな。これからの活躍に期待。
 SFではないが、宮部みゆきのブレイブストーリーがダイジェスト版で映画化。皇女ゾフィ様の丸顔っぷりが素晴らしかった。ゲド戦記は...まあ、おいといて。

 洋画では「サイレントヒル」が印象深い。同名ホラーゲームのビジュアルと世界観を忠実に再現。三角頭の迫力。バブルヘッドナースの恐ろしくも艶かしい動き。素晴らしい。
「リベリオン」の監督が再び「ガン=カタ」を見せてくれた「ウルトラバイオレット」には期待大だったのだが、どうも印象が薄い。むしろ「英国以外全部壊滅」状態の世界をリアルに描いた「トゥモローワールド」が印象に残る。

 マンガでは、ひとつの大きな事件があった。作者の韓国のBoichi氏による「HOTEL」だ。週刊モーニングに読み切り短編として掲載された。人類滅亡後、金星化した地球を舞台に、終盤全く人間の出てこないドラマは、あまりのスケールの大きさに読むものを驚かせた。
 モーニングといえば、人間の出てこないリアルな恐竜マンガ「DINO2」を描いてた所十三が、週刊少年チャンピオンで人間も出てくる恐竜マンガ「白亜紀恐竜奇譚 竜の国のユタ」を始めた。本人は「ファンタジー」だと言っているが、描かれる恐竜ひとつひとつにこだわりがつまってる。主人公ユタの乗騎、パキケファロサウルスのジサマがね、かっこいいのよ。サイズ的にパキケファロサウルスクラスの恐竜に人間は乗れないから、わざわざナノスという小人種を設定してるところに、作者のこだわりを感じる。
 タカハシマコの「エオマイア」完結。掲載誌の「コミックハイ」がいつ廃刊になるかと、別の意味でもドキドキな連載だったが、無事単行本も出た。性犯罪の前科があるヒキコモリ青年に、息子を支配しながら息子に依存する母親、「自分が可愛い」と「他人事」の間を行き来するキャラクターたちと、あいかわらずのダークでビターな作風、笑顔が破壊的に可愛い女の子キャラは健在だったが、いまいち消化不良のラスト。タカハシマコにとっては初長編なので、こちらも次回作を期待、と言うことで。つうか(ニコ)2巻を出せー!
 富沢ひとしの「特務咆哮艦ユミハリ」は、奇々怪々な時間戦争いまも進行中。現在3巻。初めて異形の土偶姫が出てきたときはびっくりだったが、河童姫が出てツチノコ姫が出て、もう大変なことになっている。このままいくとミルククローゼットの全4巻を超え、富沢ひとし最長作品になるかもしれない。
 何年越しかで出る出ると言われた伊藤まさやの「美しい人間」がまだ出ない。春は何度過ぎただろうか。

 近況とか。

 現在帰省中。妹の「暁星記」を読む。
 レンタルDVDで「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」「デジモンアドベンチャー」を見る。
 明日(1月1日)から仕事。みなさま、良いお年を。

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Present−Boichiふたたび−

 HOTELの衝撃が忘れられない。あのBoichiが、週刊モーニングに帰ってきた。

 Present(プレゼント)(ややバレ)

 年上の男性と結婚した女性が、病気による眠りから目覚めると...。

 最初見た時、「お、今度はSF違うんか?」と思ったほど、SF的な<絵>は皆無。
 SF的にはありがちな道具立て。お話的にも普通のSF。
 正直、HOTELほどの場外ホームランがそうそうでるとは思ってないので、普通に面白かったです。どうしても比べちゃいますけどね。
 偶然なのか、どちらのお話も「待つ」ことがテーマになってます。

 というわけでBoichiさん、また、モーニングに帰ってきてくださいね!

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モーニングのHOTEL がんばれ人工知能

 なにはともあれ、週刊モーニングのHOTELだ。凄かった。

 人類は物語の半分も行かないうちに滅んでしまうが、そんなことはどうでもいい。
 物語の主役は、「人類以外の」DNAを保存するHOTELと呼ばれる巨大建造物であり、その分身である人工知能の「ルイ」だ。

 金星化した地球で、ルイとHOTELは次々と災厄に見舞われる。

 海が蒸発して消えてしまうほどの高温。
 激しい気流。不測の事故。エネルギー不足。

 それでも、ルイはひとりでがんばる。
 進化して賢くなって自分を造りかえて、片っ端から問題を克服する。

 しかし、過ぎ行く膨大な時の流れには、あがなうすべも無く..。


 モーニングという雑誌は、意外とSFに懐が深い。
 プラネテスだの、わたしはあいだの、印象深い作品が思い浮かぶ。そういえば、ハードSF版ゴジラみたいな作品もあったっけ。

 作者のBoichiさんは、韓国籍なんだろうか?
 今後もいい作品を描いてほしいものだ。

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特務咆哮艦ユミハリVS大巨獣ガッパ

 トンデモナイものを描き続ける希有なるマンガ家、富沢ひとしの最新作、特務咆哮艦ユミハリに、待望の2巻発売。
 今回も相変わらず、とんでもない(褒め言葉)

 あらすじ。

 時間戦争によって無数の時代が群雄割拠する時代。
 路線拡張を目指す品川の鉄道員集団、特務咆哮艦ユミハリの前に、次々と強敵が現れる。
 無敵の村上水軍。
 阿蘇の土偶軍団。
 そして今回は...カッパ?

 巨大カッパに襲われるユミハリ。
 河童の集落を巨砲で粉砕するユミハリ。
 ユミハリが破壊行為を行うたびに、ありうる未来の一つが消滅し、混乱した歴史が収束するという事実。

 このなんともいえぬ奇妙な味を、拙文でどれだけお伝えできるか疑問だが、とにかく先が読めない。面白い。

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