カウボーイビバップ主演キアヌリーブス

 ウボーイビバップ:キアヌ・リーブス主演で実写映画化 渡辺監督も参加へ
 カウボーイビバップの実写化というだけでも眉唾なのに、主演はキアヌリーブスですか!
「わたしは原作アニメのファンです」って聞いてないですよ!

 とりあえず、一番重要なのはサンライズの参画でもキアヌの主演でもなく、実は音楽ではないかと思う。音楽がうまくいけばビバップは9割成功ですよ?

 余談

 なんかカイジも実写映画化するんですね。
「鬼が来た」で日本兵役を狂演した香川照之さんが利根川サンやるのか...。

| | Comments (1013) | TrackBack (0)

新年静止する地球がすごいESPに(ニコ)するバキ外伝

 新年おめでとうございます。
 とりあえず近況とか、つらつら。

 映画の話。

 地球が静止する日、見ました。往年の名作のリメイク。タイムマシンしかり、宇宙戦争しかり、例によって換骨奪胎、同じキーワードで作られたまったくの別物であります。でもそこそこ楽しめました。
 キアヌ・リーブス版の宇宙人クラートゥは本人がチートに強力で、原作と違い自力で相手をやっつけてしまいます。詳細は明かしませんが理詰めで攻略する感じで、まるでスタンド能力のようです。これが意外とおもしろい。銃を持った警官と逆転するシーンはびっくらこきました。対ヘリ×2戦闘は笑いました。
 原作ではクラートゥ以上に有名なロボット・ゴートはゴツいくらいマッシブで、巨大ペプシマンに見えてしまいます。これがゴートだと言われれば納得はできますが、どうにも好きになれません。アイタタ。こいつがどんなふうにあばれるのかと思いきや、まさかアレでくるとは。ハリウッドがリアルなアレの仕組みをCGで懇切丁寧に見せてくれるとは、長生きはするものです。なるほど、これなら人類根絶やしだわと、納得できるビジュアルでした。
 個人的に好きなシーンふたつ。ひとつは原作にもある黒板のシーンです。ノーベル賞学者の老人とクラートゥが黒板に科学という言葉で無言のアンサンブルを奏でる、かりかりとチョークの音も心地よい印象的なシーンでした。
 二つ目は、中国人のおじいさんが出てくるシーンです。これは原作にはなかったはずです。

 マンガの話。

 ヘレンESPがおもしろい! ヘレンがかわいい!!
 事故で両親を失い、同時に三重苦を背負ったヘレンは、ついでにとんでもない能力(ESPってレベルじゃネェぞコレ!)まで目覚めてしまい、大小さまざまの事件に巻き込まれた末に、時に不可思議で、時に残酷で、時にほのぼの、時に何とも名状しがたい結末を迎えるショートストーリー集。障害者であるヘレンのさりげない日常(スケッチブックで話しかけるとか、粘土細工してるとか)と、現実に潜む非現実の邂逅(死者とか魔王とか花の精とかイタ電とか)、それはさておきヘレンがかわいいんですよ!
 マイナー誌の週刊少年チャンピオンで短期連載を不定期に繰り返す、知る人だけが知る佳作だったのですが、ようやく1/8に単行本が出てます。とにかくヘレンがかわいいので、できるだけ多くの人に見てほしいマンガです。

 もひとつマンガの話。

 あの(ニコ)が、完全版2巻で1/10発売ですよ? やんごとなき理由で単行本化が中断して、あんまり先が読みたかったので国会図書館まで行ったんですよ。まあそれはさておき。
 信じられない。待ってみるもんだ。
 あのエオマイアのタカハシマコが描いたザンコクまんが。本当はザンコクなこどもたちのザンコクさが容赦なくこどもたちに向けられるザンコクさ、それがタカハシマコの描くかわいっちい少年少女でアレします。容赦なく内面まで掘り下げた上に突き放します。ぽーん!
 印象的なのが、ダレカニミテホシクテ自傷を繰り返す女の子の話。彼女がポジティブなぶん、つらつらと何とも言えないきもちが胸に込み上げてきます。
 もう一つは、浜辺で出会ったおじさんとデート(?)する女の子の話。これはヤラレタ。子供の心を失わないとはどういうことなのか、現実的で残酷な答えが返ってきた上で、サクっと斬って落とされます。「ずっと夢を見続けてもいいんだよ。」
 この作品を愛せる人は限られていて、心が少々病んでいるのかもしれませんが、それでもうれしい。ありがとう。

 おまけ。

 ありえないものを描き続けるマンガ家、富沢ひとしセンセが、なんとバキ外伝の作画で復活。
 原作者は師匠の板垣センセですから、古巣にもどったわけですね。
 またSFも描いてほしいデス。

 んなわけで、今年もよろしくお願いします。

Continue reading "新年静止する地球がすごいESPに(ニコ)するバキ外伝"

| | Comments (137) | TrackBack (1)

キミと手をつなぎたい−WALL・E/ウォーリー−

【彼女はデンジャラス】
 右腕は高エネルギービーム砲。怪しい奴には即発砲!
 
【彼女はオールマイティ】
 賢い彼女は、初めて見たルービックキューブを一瞬で揃えてしまう。

【彼女はハイスピード】
 舞うように飛び、音速だって越えちゃうよ!

 そんな彼女に出会ったら、そりゃ、恋くらいしちゃうよね!

 というわけで、予告にキュンときた映画、WALL・E/ウォーリー」を見てきました。というかロボットです。ひとりぼっちのロボットです。オンボロロボットのウォーリーが、ボーイミーツガールする、って自分でも何言ってるか分かりませんが、これは見なきゃなんですよ。SF者として。いやロボット好きとして!

 で、素晴らしかったです。

 何処までも荒れ地と廃墟とゴミだらけ、地球オワタ状態の舞台設計から、対称的な二人のロボットのデザインやギミックの面白さ(イブの「指」が最高!)、なにより、言葉も表情もなく伝わってくる二人の心がね、「カーズ」で自動車に表情つけてバリバリ喋らせた同じピクサーとは思えない。

 いい映画を見せてもらいました。今年はこれが一番かもしれない。

| | Comments (193) | TrackBack (0)

えばじょ −ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序−

 遅まきながら、えばじょこと、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」を見てきました。

 ストーリーについては、特にお話しすることはありません。
 皆さんがすでによーくご存知のお話、いじけっこシンジくんがお父さんに呼び出され(中略)、使徒ラミエルと戦うまでが描かれています。

 パンフレットの中で総監督庵野秀明さんは、「日本のアニメーションを未来に繋げたい」「この12年エヴァより新しいアニメはありませんでした」と胸の内を明かしています。
 たしかに、エヴァ以降のアニメが、ただ「絵が奇麗になっただけ」「新しいことは何もしていない」と言われれば、確かにその通りかもしれませんが、えばじょが果たして「この12年間に無かったエヴァより新しいアニメ」になり得たのか。
「新ラミエルかっこいいでしょ?」とか「実は新しい謎が潜んでますよ?」とか、作品として新しい要素は確かにあるけれど、ただ、「絵がきれいになっただけ」で、アニメとして本当に「新しいことは何もしていない」んじゃないの? と言われて、違うと言い切れるの? どうよ??

 なんてエラソーなことを書いてますが、映画自体はなかなか面白かったです。
 やっぱりアヤナミはよいです。(アスカはまだ登場していない)
 なんか、古い名作DVDを引っ張りだしてきてダーっと流してる、そんな気分で楽しめました。
 とりあえず、続編が楽しみです。

| | Comments (56) | TrackBack (0)

スピルバーグさんの次のお仕事

 ひさびさの映画館で、「トランスフォーマー」の予告編を見ました。
 そうです。あのトランスフォーマーが、実写映画になって帰ってくるんですね。
 ロボットというより、学研のメカモみたいなやつがぞわぞわ動く<絵>は、思わず鳥肌立つくらいすごいッ! なんだけど、そこはかとなく宇宙戦争の雰囲気が漂っていてヤバイです。
 公式サイトでは、マイケルベイ監督とスピルバーグさんの日本語の挨拶が聞けます。
「日本のミナサマ、ゴクタイクダサイ!」

 おまけ。トランスフォーマーと言えば、こんなのがあったナァ(萌え系注意)。ぶっと氏ご健在であったか。

| | Comments (60) | TrackBack (0)

2006年を振り返って

 総括とか。

 邦画は筒井康隆の年だった。
 「時をかける少女」「パプリカ」そして「日本以外全部沈没」と1年で映画化3本。どひゃー。
 特に「時をかける少女」は、誰にでもお薦めできるきもちいい良作。ヒロインのバカっぷりがすがすがしい。細田守監督の出世作と呼ばれるようになるんだろうな。これからの活躍に期待。
 SFではないが、宮部みゆきのブレイブストーリーがダイジェスト版で映画化。皇女ゾフィ様の丸顔っぷりが素晴らしかった。ゲド戦記は...まあ、おいといて。

 洋画では「サイレントヒル」が印象深い。同名ホラーゲームのビジュアルと世界観を忠実に再現。三角頭の迫力。バブルヘッドナースの恐ろしくも艶かしい動き。素晴らしい。
「リベリオン」の監督が再び「ガン=カタ」を見せてくれた「ウルトラバイオレット」には期待大だったのだが、どうも印象が薄い。むしろ「英国以外全部壊滅」状態の世界をリアルに描いた「トゥモローワールド」が印象に残る。

 マンガでは、ひとつの大きな事件があった。作者の韓国のBoichi氏による「HOTEL」だ。週刊モーニングに読み切り短編として掲載された。人類滅亡後、金星化した地球を舞台に、終盤全く人間の出てこないドラマは、あまりのスケールの大きさに読むものを驚かせた。
 モーニングといえば、人間の出てこないリアルな恐竜マンガ「DINO2」を描いてた所十三が、週刊少年チャンピオンで人間も出てくる恐竜マンガ「白亜紀恐竜奇譚 竜の国のユタ」を始めた。本人は「ファンタジー」だと言っているが、描かれる恐竜ひとつひとつにこだわりがつまってる。主人公ユタの乗騎、パキケファロサウルスのジサマがね、かっこいいのよ。サイズ的にパキケファロサウルスクラスの恐竜に人間は乗れないから、わざわざナノスという小人種を設定してるところに、作者のこだわりを感じる。
 タカハシマコの「エオマイア」完結。掲載誌の「コミックハイ」がいつ廃刊になるかと、別の意味でもドキドキな連載だったが、無事単行本も出た。性犯罪の前科があるヒキコモリ青年に、息子を支配しながら息子に依存する母親、「自分が可愛い」と「他人事」の間を行き来するキャラクターたちと、あいかわらずのダークでビターな作風、笑顔が破壊的に可愛い女の子キャラは健在だったが、いまいち消化不良のラスト。タカハシマコにとっては初長編なので、こちらも次回作を期待、と言うことで。つうか(ニコ)2巻を出せー!
 富沢ひとしの「特務咆哮艦ユミハリ」は、奇々怪々な時間戦争いまも進行中。現在3巻。初めて異形の土偶姫が出てきたときはびっくりだったが、河童姫が出てツチノコ姫が出て、もう大変なことになっている。このままいくとミルククローゼットの全4巻を超え、富沢ひとし最長作品になるかもしれない。
 何年越しかで出る出ると言われた伊藤まさやの「美しい人間」がまだ出ない。春は何度過ぎただろうか。

 近況とか。

 現在帰省中。妹の「暁星記」を読む。
 レンタルDVDで「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」「デジモンアドベンチャー」を見る。
 明日(1月1日)から仕事。みなさま、良いお年を。

| | Comments (239) | TrackBack (0)

サイレントヒル 静岡にようこそ

 というわけで、映画版サイレントヒル見てきました。

 サイレントヒル。通称「静岡」は、元々がコナミのホラーゲーム。シリーズ化され、今は4まで出ています。
 単独で語られるより「カプコンの<バイオハザード>とは、違って..」という文脈で語られることが多い、ある意味不憫な作品です。

 でもね、僕は惚れ込んでるんですよ。2限定ですが。

 週刊少年チャンピオンのゲーム評に搭乗した時から、あの写真を目にした時から。これはもう、やるしかないと。
 運命の出会い、ってやつですね。

 大好きです。バブルヘッドナース。

 映画の話に戻りますが、基本的なストーリーは1をベースにしながら、2のモンスターが大量に出てくるという趣向になっています。
 やっぱりモンスターは、2で極めたってことでしょうか。
 うねくるように歩くライイングフィギアが露払い。明るい場所で姿をはっきり見せながら、すこしづつ近づいてくるのが、怖い!
 巨大な鉄剣を引きずりながら襲ってくるピラミッドヘッドは、絶対的な暴力が恐怖を一回りしてうっとりするくらいかっこいい。見せ場も多いし。
 そしてバブルヘッドナース! 全然出てこないので「もう出番はないのかな」と思ってたら、美味しいシーンで出てきました。それも集団で出てきます。この監督分かってますね。

 霧に包まれた街サイレントヒルの再現や、一転して血と錆の世界と化す裏世界への見事な転換。子役を含む俳優さんの熱演。いい映画を見せてもらいました。

| | Comments (22) | TrackBack (2)

S1M0NE-彼女は<本物>の終焉

 完全無欠の女優。
 新たなコッペリアの誕生。
 彼女の名前はシモーヌ。
 SIMONEは、SIM(URATION)ONEの略だ。

 というわけで、DVDでシモーヌ鑑賞。
 映画館で見そびれて、悔しい思いをした一本だ。
 テンポがいい。たぶんこの監督、俺と相性がいいんだろう。何故もっと早く見なかったんだろう。

(以下、ネタバレあります。)

 落ち目の映画監督ビクター・タランスキーは、才能はあるが自己中社会不適合。「人気女優のわがままをガマンする」という、ハリウッドで生きていくのに最低限のことすらできず、映画は鳴かず飛ばず。製作会社の元妻にも冷たくあしらわれてしまう。
 そこに現れたのが、同じく不遇の天才、プログラマーのハンク。彼は自作の「SIMURASION ONE」を持って、タランスキー監督に会いに行く。「これが、あなたの理想の女優ですよ!」。
 タランスキーの映画は封切られ、シモーヌは大人気になる。ハンクの言う通り、シモーヌはコンピューターだからこそ作り出せる、理想の女優だったのだ。
 シモーヌの秘密は、やがて明かされるはずだった。しかし、そうは問屋が卸さない。
 シモーヌの人気はやがて常軌を逸したものになる。ハンクはコンピュータの使い過ぎで早々に死んでしまう。一人残されたタランスキーは、もう、なにがなんだかわからなくなる。

「完璧な女優が登場。実はCG女優だった」という、まるで俺の為にあるようなプロットがいい。
 声は若かりし頃のジェーンフォンダ。身体はソフィアローレン。優雅さはまるでグレースケリー。そして顔はオードリーヘップバーンと天使を合わせたようというから、凄い。
 実際、タランスキー監督がSIMURATION ONEを使って、往年の名女優のエッセンスを混ぜ合わせるシーンがある。この作品の見所の一つだ。

 軽妙でいて深読みのできるシナリオがいい。
 タランスキー監督が不幸になる様が、正直、楽しい。
 最初はうさんくさいと思っていたハンクを、自分の映画をベタボメされて少し信用してしまうとか。
 自分に惚れたと思った女が、「あのシモーヌみたいにわたしを愛して!」と言いだして、一気にさめちゃうとか。
「俺が彼女を世に出したんだ!」と言ったら、元妻に「違うわ。彼女のおかげであなたが世に出れたんでしょ」と、軽くいなされちゃうとか。
 自分の思い通りになる女優を手に入れたつもりが、シモーヌにボロボロになるまで振り回されて、ホント、アタマ・タランスキー監督である。
 そして、映画には、監督以上にシモーヌに振り回される、一般大衆の人々が描かれる。
 彼らはシモーヌに熱狂し、時に人生まで変えてしまう。一体、シモーヌは何なのか。

 映像特典のインタビューが、また面白かった。
 バーチャル俳優を、
「完全無欠の俳優がいれば映画監督は大喜びだ。」
「制作会社にとっても理想の俳優だ」
という監督。
「制作会社の夢 俳優の悪夢だね。」
「俳優の職を失う日がくるんだろうか。」
「あり得ない話じゃないからなんだか怖いわ。」
という俳優たち。
 映画の中でタランスキー監督を演じるアルパチーノは、
「俳優は、映画を見る人との間に心のつながりを持つことができる。
 コンピュータにそれができるとは思えない。」
というけれど、彼ほどの名優でもCG俳優の本質を見誤っている。
 同じインタビューの中でCGスタッフがいみじくも言っているように、CG俳優に魂を込めるのはアニメーターやプログラマー、俳優と同じ人間なのだ。
 使われなかったカットで、シモーヌのシステムを作った不遇の天才プログラマー、ハンクが言っている。
「ディズニーはずっと昔から作り物の俳優を使ってきた。」
 彼らは俳優と、ずっと同じ土俵で戦っていたのだ。ただ、戦い方が違うだけだ。

 余談。

 本編で一番バーチャルな存在は、エヴァン・レイチェル・ウッド好演の、監督の娘レイニーだろう。
「パパ大好きっ娘」なんて、空想上の存在だ。しかも年頃で、かわいいときている。ぶっちゃけありえない。おそらくあのラストは、追いつめられて本当にイっちゃったタランスキー監督の、妄想だったんだろう。
 そうすれば、あの唐突な展開も、レイニーの彼氏が登場しないのも、いきなりコンピュータのシステムが復旧できるのも、ちゃんと説明がつく。
 なんてね。

| | Comments (5) | TrackBack (1)

H・G・ウエルズの透明人間(映画版)

 というわけで、映画「透明人間」のDVDをレンタル。
 原作は宇宙戦争のH・G・ウエルズ。うひょー1933年だよ、とか思いながら見たんだけど、これがオモシロイ

(やや、ネタバレあり)

 一昔前のイギリス。うらぶれた街。
 酒場を兼ねた安宿に、怪しげな男が現れる。
 黒めがねをかけ、手袋をし、コートを着込んでいる。
 顔はぐるぐる巻きの包帯で分からない。

 このへんで「ははぁん、そういう話なんだな」と、観客は分かったつもりになる。
 でもたぶん、それは罠だ。

 この映画の本当のテーマは「人間が透明になることの恐ろしさ」ではない。
「もしも<こんなヤツ>が透明だったら、心底恐ろしい」ことを、描きたかったのではないか。

 映画には原作にないオリジナルの設定がある。
 透明になる薬「モノカイン」には副作用があって、精神を侵される。
 透明人間はやがて誇大妄想癖を持つようになり、倫理観が低下し、攻撃的になる。

「悲鳴が聞こえたかい。」
「何があったんだ?」
「身体を温めるために警官を殺したんだ。」

 透明人間は次第に<本性>をあらわし、おもしろ半分に人を殺しはじめる。
 殺される側は、相手が見えないので、ろくに反撃もできない。
 透明人間だから、どこにでも行ける。どこにでも現れる。
 そんな奴が、同じ部屋にいるかもしれない。
 すぐ隣で息を潜めているかもしれないが、それがわからない

 これが怖い。透明人間というアイデアそのものも面白いけれど、見せ方がうまい。
 何度もシナリオを書き直したというけれど、納得。

 監督のジェームズ・ホエールはイギリスの人。カーロフのフランケンシュタインもこの人なんやね。
 彼自身が後に映画化され、イアン・マッケラン(=ガンダルフ)が演じてるそうな。
(透明人間のメイキングにマッケランが出ててびっくり。)

| | Comments (367) | TrackBack (0)

おら<ぱらいそ>さ行ぐだぁ/諸星大二郎映画化 奇談(キダン)

 というわけで、奇談も見てきた。
 諸星大二郎のコミック「生命の木」を映画化、つうても、原作は未読。
 エヴァンゲリオンに出てくる「光の十字架」の元ネタだっけ?
 予告をみて、邦画独特の「びみょー」な雰囲気はしたものの、文字通り、まるで天にも昇るような台詞「おら、ぱらいそさ行ぐだぁ」があまりにも強烈で、結局見に行った次第。

 配役はいい。
 阿部寛(*1)演じる諸星大二郎の人気キャラ稗田礼二郎が最たるものだが、ほかもいい。
 講談の一龍斎貞水に古寺の和尚をやらせる。あの、夏の怪談には欠かせないしぶい語りで、過去の神隠しがどうとか、寺の古文書がどうとか語らせる。これがいい。
 柳ユーレイの警官だの、白木みのるの怪人物だの、ちすんの怪少女だの、どれもおもしろかった。ひろいんの藤澤恵麻ちゃんも初々しくてかわいい。原作では男性だったそうだが、これはこれで正解だったのではないか。

 お金はかかってないっぽい。
 田舎のロケ。セットらしいセットもない。最後の、いかにも諸星作品らしいスペクタクルも、CGを使えば、今ならほとんどお金はかからないだろう。
 でも、諸星大二郎を映画化するのには、これが正解なんじゃないか、という気もしたり。

 そこそこ、面白かったかなあ、と言ったところで。

*1
 代表作はTRICK、なのかなあ。
 個人的には超怪作血を吸う宇宙を押したい。
 他にも 姑獲鳥の夏の超常探偵榎木津とか。そんなんばっかり。

| | Comments (46) | TrackBack (0)