準天頂衛星
ある地点の真上にくることを目的とした、人工衛星。
BSやCSのアンテナは、斜め上を向いている。
これは、BSやCSの放送衛星が静止衛星で、赤道上空にあるからだ。
日本から見ると、赤道上空の静止衛星は、斜め上南の方角になる。その方角に山やビルがあると、電波を受信できなくなってしまう。
電波の届き具合を考えるなら、人工衛星は「真上」で、じっととどまっているのが理想だ。
真上なら、山やビルによる影ができにくい。
でも、静止衛星は赤道上空にしか造れない。
そこで、複数の衛星が交代で「真上」にくるシステムが考えられた。それが、準天頂衛星だ。
準天頂衛星の公転周期(地球をぐるりと回る時間)は、ぴったり1日、24時間。
これは、静止衛星と同じだ。
ただし、準天頂衛星の軌道は赤道面からかなり傾いている。
ひとつの衛星が目的地の真上にいるのは、1日の何分の一かにすぎない。そこで、軌道の傾きが違う複数の衛星を用意して、順番に「真上」にくるように調整しておく。
もちろん、準天頂衛星も万能ではない。
屋内やトンネルには、いかに「真上」からの電波でも届かない。
ワンセットの準天頂衛星から恩恵を受けるのは、惑星上でもごく限られた地域だ。
惑星ごと開発してしまうような未来SFでは、出番は無いかもしれない。
それでも、なかなか面白い技術ではないかと思う。
日本でも準天頂衛星が計画されているそうだ。
近い将来、BS/CSのパラボラアンテナが、みんな真上を向いてる。
そんなことが、あったりするのかもしれない。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/society/space/topics/satellite/sat01_b.html
「SF科学用語辞典」カテゴリの記事
- フェルミのパラドックス−宇宙人はどこにいる?−(2005.02.06)
- ドレイクの方程式(2005.02.03)
- 中国語の部屋(2005.01.19)
- ソーラーセール(2004.11.13)
- ミラーニューロン(2004.11.04)
The comments to this entry are closed.
Comments