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千両みかん

 たぶん江戸時代。

 大店の番頭が、ひょんなことから、真夏にみかんを買いにいく羽目になる。

 いつでもスーパーで買える現代とは違い、江戸時代のこと。
 季節外れのみかんなんか、どこに行ったってあるわけがない。

 途方に暮れる番頭。

 最後に一軒、「もしかしたら」という問屋を見つける。

 聞けば昨年の冬、3つの蔵いっぱいに、みかんを保存したという。

 一つ目の蔵を開ける。蔵いっぱいのみかんをひとつひとつ検分する。すべて腐っている。
 二つ目の蔵も同じ。全部が腐っている。
 三つ目の蔵、半分を検分したところで、一つだけ、無事なみかんを見つける。
 結局三つの蔵を空けて、無事なみかんはそのひとつだけだった。

「みかん問屋にみかんが無いと、店の”のれん”に関わる。
 だから、無駄になることを承知で、毎年みかんを蔵三つに仕込む。」

 胸を張る問屋。

 感心するやら、開いた口が塞がらないやら、の、番頭。


 落語「千両みかん」は、大体こんなお話だ。

「当時本当に、こんな保存法(?)が行われていたのかもしれない」という子供向けの本の解説を読んで、やっぱり感心するやら、開いた口が塞がらないやらだった記憶がある。いくらなんでも無理があると思うが、江戸時代は、そんな馬鹿げた行為を「粋」とみなす節があるからだ。

 それにしても。
 この破天荒な保存法、なんとなくSFっぽい匂いを感じるのは、僕だけだろうか。
 みかんを、例えば人間を置き換えれば、なかなか非人道的なシナリオができあがりそうだ。

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Comments

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Posted by: Kim Kardashian Hollywood hack ios | 2015.01.03 03:18 AM

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