小説ＩＣＯ

　あのＩＣＯが小説になった。
　作者は宮部みゆき。

　オリジナルのＩＣＯは、プレステ２のゲーム。
　宮部にノベライズの企画が持ち込まれた、というワケではないらしい。
　どうやら宮部の方がＩＣＯに惚れ込んで、小説を書き下ろしたようだ。
　宮部ほどの売れっ子が、と考えると、これはちょっとした事件なのかもしれない。
　でも、かつてＩＣＯの世界観にどっぷりのめり込んだ一人としては、さすが宮部、目のつけどころがいいと、ヘンなところで納得したりする。

　ゲームとしてのＩＣＯを説明するのは、存外難しい。

　よく似たゲームは無さそうだし、語るべき情報も少ない。
　それでもがんばって、説明をしてみよう。

　角の生えた男の子（プレイヤ）が、不思議な女の子の手を引いて、城を脱出する。
　城は宏大だ。水。庭園。廃墟。透明感のある美しい風景が広がっている。

　女の子は男の子よりも少し背が高く、不思議な力を持っている。
　けれど、とても華奢で、か弱い存在だ。
　しかも、言葉は全然通じない。

　男の子が上っていける断崖も、女の子は上ることができない。ある時は手を引いて、ある時は手を差し伸べなければいけない。

　この、手をつなぐ、というのがミソで、コントローラのデュアルショックと連動しているおかげで、本当に手をつないだり、手を引っ張ったりしたような感じにさせてくれる。はじめて手をつないだ時のちょっとした驚きと、その後に来る気恥ずかしさ（笑）は、ちょっとした感動だ。

　やっぱりどうも、うまく説明できていないかもしれない。

　なにか女の子がただの足手まといのように読めたら、それは僕の書き方が悪かったに違いない。
　ゲーム上、どうしても彼女を残して男の子だけで遠出しないといけない場面があるのだが、とても心細くなる。もどって手をつなぐと、ちょっと安心する。

　そんなゲームです。

　このゲーム、ぜーんぜんノーチェックだったんだけど、その昔、某氏の力説するようなオススメで購入した次第。Ｋ三郎さん、ありがとう。