超光速
アインシュタインの特殊相対性理論によれば、人間は光より速く動くことも、光より速く情報を伝えることもできない。いわゆる「光速の壁」が存在する。
光の速さは秒速30万kmもあり、日常で光速の壁にぶちあたることはほとんどない。とはいえ、コンピュータの高速化や衛星通信のタイムラグなど、光速の壁は意外な場所でひょっこり姿を現わす。
宇宙を舞台にしようとすると、どうしても光速の壁が立ちふさがる。宇宙は広い。あんまり広いので、距離の単位として「光年」を使う。1秒間に地球を7回り半できる光が、1年もかかってかかってやっと到達する距離だ。
この世に光よりも速いものが存在しないのなら、1光年先にいくには、どんなにがんばっても1年以上かかることになる。理屈ではそうなる。1光年というデタラメな距離も、宇宙ではほんのわずかにすぎない。太陽に最も近い恒星、アルファ・ケンタウリすら、4.3光年もの距離がある。隣の星に行くのすら4年以上かかると言うのでは、冒険なんてできたものじゃない。
そこでSFでは、超光速を実現するための架空の技術が登場する。光速の壁が存在するのはあくまで「特定の条件下」で、宇宙の絶対法則ではない。「質量保存の法則」が核分裂にそのままあてはまらないように、特殊相対性理論にもなにがの「抜け穴」があるとすれば? フィクションの世界では「あったこと」にしてしまえばいい。あとはいかに「それらしく」理屈をつけるかだ。
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Comments
SFの理由付けとしてはもう1つ、「愚かに」とゆーのもありますね。こっちの路線も好きです。
(より発達した文明(謎だったり過去の人類だったり)の遺産の『ゲート』とゆーのはそこそこ多い気がします。ファンタジーの古代の魔法王国ぐらいに(笑))
Posted by: うぇいく | 2004.05.09 02:23 AM
愚かな理由付けも好きですが、「それらしい」も重ねて押さえておきたいところ。たとえそれが「タイムスリップがあるのだから、タイムステテコも有るに違いない(BYヨコジュン)」みたいな、駄洒落であったとしても(笑)。
Posted by: 御宗銀砂 | 2004.05.10 01:21 PM
一般的に超光速なガジェットといえば「ゲート」か「ジャンプ」に集約されると思うんですが、どっちにするかでその作品の世界観が決定されてしまう重要な要素ですね。
ちなみに私は「ゲート」の方が好きです。
ジャンプ式じゃない宇宙船の方がポンコツ感が漂っていて、個人的に好きというだけなんですが(^_^;
Posted by: DaAtsu | 2004.05.11 12:44 PM
「ゲート」と「ジャンプ」以外にも、とにかく「光速以上のスピードに加速してしまう」つうのがあります。レンズマンの無慣性航法などがそうですね。読んでてすがすがしいくらいの超光速で、銀河をぶっとばしてくれます。
ヤマトなどのワープと違い、スタートレックの「ワープ」も、「ジャンプ」というよりどちらかというと「加速」に近いような気がするんですが、どうでしょうか。
Posted by: 御宗銀砂 | 2004.05.12 12:12 AM