ファーストコンタクト

　未知の異星人との、最初の出会いのこと。

　異星人と直接出会う以外にも、電波による通信や、ボイジャーのレコードなど、さまざまな経緯が考えられる。

　ファーストコンタクトには、成功と失敗がある。
　失敗には「存在に気付かなかった／気付かれなかった」「知性があると認識できなかった／認識してくれなかった」「コミニケーションが取れなかった」「誤解した／された」「相手が悪かった」等、およびその複合がある。

　成功をうまく言い表すことは難しいが、「コミニケーションに成功」し、「こちらの望む共存が成立」すれば、一応成功だといえるだろう。

　ファーストコンタクトでは、まず、まともなコミニケーションが成立しないことが多い。

　言葉も通じない。身振り手振りも、通じるかどうかは怪しい。
　そもそも、相手がやっている事柄が、まるで理解できないかもしれない。
　コミニケーションは、相手と自分との共通点を元に築き上げていくものだ。ファーストコンタクトの場合、同朋とのコミニケーションで使っている共通点、言語、共通認識、きもち、価値観、ｅｔｃは、まったく使い物にならないだろう。
　最初のコンセサスを成立させる、というのが、ファーストコンタクトＳＦの山場の一つだ。わずかな手がかりを基に、お互いの心を、手探りで探し出すことになる。
　手始めに、数学や物理学の法則を「共通認識」に使うのが定番だろう。お天気の話題のように、「まずは素数から」が、ファーストコンタクト導入の定番になる。

　相手のことがわからないのだから、当然、疑心暗鬼になる。
　相手は殺人鬼かもしれない。それ以上に恐ろしい相手かもしれない。
　相手の善意が、こちらにとっては大きな脅威になるかもしれない。
　そして、相手もまた、こちらを恐れているかもしれない。

　そんなこんなを乗り越えていくファーストコンタクトは、やはり、大偉業なのだろう。